36歳になった天才・飯伏幸太はどこへ向かうのか?

プロレスの世界には何人もの「天才」と呼ばれるレスラーがいます。

私がリアルタイムで最初に観た天才レスラーは武藤敬司でした。彼に出会ってから20年で多くの天才と呼ばれるレスラーに出会いました。

新日本プロレスのリングに上がったレスラーに限定してみても、挙げはじめればキリがないほどです。

 

飯伏幸太も紛れもなくそのひとり。

ただ、天才と呼ばれるレスラーにもいくつかのパターンがあります。武藤敬司や中邑真輔のように身体能力、技術、メンタル、ルックス、魅せ方、そして運に至るまですべてを兼ね備えた天才もいれば、蝶野正洋や棚橋弘至のようにカリスマ性に特化した天才もいます。

飯伏幸太は武藤敬司のようにパーフェクトな天才ではありません。

しかし、ズバ抜けたものを持っています。こういうと、身体能力を一番に思い浮かべる方が多いでしょう。

でも、身体能力が飛び抜けたレスラーは「アスリートプロレス」が主流になりつつある新日本プロレスにおいては大勢います。

単純に跳躍力やスピードで比較すれば、ウィル・オスプレイやフリップ・ゴードンのような化け物級の若いレスラーがいるのです。

 

36歳という年齢から考えると、若いレスラー相手に純粋に身体能力だけで対抗することはできないでしょう。だからといって、ここから格を落としていくレスラーではありません。

 

長い前置きになってしまいましたが、飯伏幸太の持つズバ抜けたものとは、感性と、その表現力だと私は考えています。

 

引退ツイートに見る飯伏幸太のプロレス

先日の両国で王者ケニー・オメガとコーディとの3Wayタイトル戦に敗れた飯伏幸太。その後、引退を仄めかすツイートが大きな話題を呼びました。

 

 

プロレスファンとして、こんな言い方はしたくありませんが、引退宣言を繰り返すレスラーは決して少なくありません。「引退芸」なんて揶揄されるほど。

最近ではプロレスの世界でも引退芸をかましまくってる人もいますが。

 

でも、引退芸は派手にやるからこそ意味のあるもの。「引退します」と宣言することで、多くの人の注目を集めたり、興行の集客を増やすことが目的であるケースがほとんどなので当然ですね。

 

確かに、両国前日の会見で「キャリアを賭ける」といった旨の発言をしていますが、前後の話の流れから、大きくフューチャーされるものではありませんでした。

 

その会見について詳しくは新日本プロレス公式の動画でご確認ください。

 

www.youtube.com

 

それなのに、上記のツイートです。自分の発言に対して真剣に考えた結果でしょう。

飯伏幸太の独自の感性・プロレス観には良くも悪くも「プロレスだから……」なんて言葉は通用しないのです。

常に真摯に、そして頑固にプロレスに向き合い続けているレスラーだからこそ、こんなツイートをしてしまう。

 

レスラーとして本来は必要である「演技」を否定しているのです。

 

酔った勢いでのツイートでは?なんて推測もありますが、その後にこんなツイートをしています。

 

 

すぐに弁解しています。はっきり言って、かっこわるいんです。それにしてもバカ正直です。

 

長くプロレスを観ていると、レスラーの演技には慣れてしまいます。虚構を受け入れて楽しむものがプロレスだという、一種の悟りの境地に達してしまうのです。

少し前の「どうせCHAOS勢の勝ちなんでしょ?オカダがV12達成するんでしょ?」という空気を当たり前に受け入れた上で、いつの間にか斜に構えてプロレスを観るようになります。(全員がそうとは限りませんが……)

 

そんな中、飯伏幸太の「バカ正直さ」が最高に刺激的に感じられるのです。

 

「飯伏なら何かやってくれるかもしれない」

 

そんな期待感を持って試合を楽しむことができます。

 

ゴールデン☆ラヴァーズの復活は茶番だったのか?

2018年前半の新日本プロレスにおいて、大きなニュースのひとつとなったのが、飯伏幸太とケニー・オメガによるゴールデン☆ラヴァーズの復活。

アメプロ的な展開・演出に茶番扱いする方も少なくありません。

 

正直、あの流れは容易に想像することができましたし、2人の抱擁と同時に金の紙テープ発射にシラけてしまうファンも多かったでしょう。

でも、会場が大爆発したのも事実です。私は新日本プロレスワールドでの視聴でしたが、テレビの前で「飯伏!ケニー!」と大声を挙げてしまったほどに盛り上がりました。

 

でも、今年の展開を考えるとゴールデン☆ラヴァーズの復活はベストなタイミングとは言えません。

直後にヤングバックスとの対戦などでそれなりに盛り上がったものの、タイトルに絡むこともありませんでした。そのまま6月にはケニー・オメガはIWGPヘビーを戴冠。まさかセコンドにつくためにゴールデン☆ラヴァーズを復活させた訳ではないでしょう。

 

G1CLIMAXではケニー・オメガVS飯伏幸太も実現しましたが、不完全燃焼感が強かったです。(試合内容は素晴らしかったですが)

先日の3Wayにしても同様です。

ケニー・オメガと対戦するにしても、ゴールデン☆ラヴァーズ復活前の方がより盛り上がったような気がします。

 

では、何のための復活だったのか?

 

単にやりたかったからでしょう。ケニー・オメガの契約期間が残り1年となった状況とはいえ、会社がゴールデン☆ラヴァーズの復活を強制するのは考え辛いですから。

 

つまり、演出は茶番臭かったですが、人間臭く、バカ正直な選択だったと考えることができます。

だからこそ、あの茶番で多くのプロレスファンが盛り上がったのではないでしょうか。

 

これから飯伏幸太はどこへ向かうのか?

現在、The ELITEと活動を共にしていますが、その立ち位置を明確にしているわけではありません。このまま「チーム・ケニー」の一員で終わるつもりはないのでしょう。

だったら、そこから一歩を踏み出すタイミングは近いはずです。

独自のプロレス観を持ち、バカ正直なこの男が、満足できない環境に長く身を置いているわけがありません。

 

だったら、どこへ向かうのでしょうか?

 

The ELITEのメンバーと一緒にWWEへ?と予想する方も多いようです。確かに可能性はゼロではありません。

でも、その前に新日本プロレスのリングでの忘れ物を回収していくことになるでしょう。

 

もしかすると、1.4でケニー・オメガから棚橋弘至がベルトを奪い、今度はケニーをセコンドに引き連れて挑戦することを願っているかもしれません。

それに、オカダ・カズチカともしっかりと対峙していません。ウィル・オスプレイとのシングルマッチも残されています。

 

でも、自分に正直な男のやることですので、全部の予想を裏切ってとんでもない場所へ向かうかもしれません。

飯伏幸太は「妄想」というプロレスファンの幸せな時間に最高の刺激をプラスしてくれるバカ正直な「天才」なのですから。

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