新日本プロレスを明るい未来に導くのは棚橋弘至なのかケニー・オメガなのか

新日本プロレス、年間最大のビッグマッチ「WRESTLE KINGDOM」。通称「1.4東京ドーム」まで残り3ヶ月を切っています。

現在決定しているカードは、おそらくメインとなる【王者】ケニー・オメガVS【挑戦者】棚橋弘至。

2018年の新日本プロレスの総決算であり、同時に2019年の流れを占う、もっとも注目すべきカードでしょう。

 

今回の試合のテーマは先日の会見で菅林会長もおっしゃっていましたが「イデオロギー闘争」。

いうまでもなく、ケニーと棚橋のプロレス観には大きな違いがあります。それぞれが、それぞれのプロレスによって多くのファンを魅了し続けてきました。

どんなに考えても、どちらが正解なのかを決めるのは難しいでしょう。

 

そこで、タイトルの通り、新日本プロレスを明るい未来に導いてくれるのはどちらなのかを考えていきたいと思います。

 

ケニー・オメガ、棚橋弘至、それぞれのプロレスとは?

このイデオロギー闘争について考える前に、まずはそれぞれのプロレスをしっかりと整理しておく必要があります。

 

ケニー・オメガのプロレスとは?

まずは現IWGP王者であるケニー・オメガのプロレスです。

ご存じの通り、今や世界的にも高い注目を集めるようになった新日本プロレスの重要な要素のひとつである「アスリートプロレス」の象徴となっているのがケニー・オメガでしょう。

高い身体能力と技術を駆使したスリリングで、少し危険なプロレス。よく、昔の全日本プロレスにおける四天王プロレス的であるともいわれますが、より複雑でジュニア的な跳び技も駆使されるのが現在のアスリートプロレスです。

 

プロレスラーの「超人」ぶりと、受ける側の「痛み」が解りやすく、ケニーをきっかけにプロレスを観るようになったという方も多いでしょう。

 

もちろん、このアスリートプロレスがケニー・オメガのすべてというわけではありません。飛んで、跳ねて、頭から落とすことだけのレスラーなんかではないことは、ファンの方ならご存じだと思います。

しかし、今回のイデオロギー闘争においては、この点を中心に考えるべきでしょう。

 

続いて、ケニーのプロレスにおいて欠かせないのが「非新日本プロレス」「非WWE」を目指しているという点。つまり、これまでにない新しいプロレスの在り方を求めているのです。

まるで俳優のようにレスラーがキャラ作りをし、演じきる必要のあるWWEも、それぞれが自由な表現をしながらも、軍団抗争など「お約束」的な要素の中でストーリーを進めていく新日本プロレスも、両方を否定しようとしています。

 

より自由で、何でもありなインディー的なプロレス……ある意味ではマニアックなプロレスの世界をメジャーなものへと押し上げようとしているように見えます。

もっとも、これはケニーのみでなく、ヤングバックスやコーディらの「The ELITE」の目指すところなのかもしれません。

つまり、ケニー・オメガにとって伝統ある「新日本プロレス」はひとつの舞台に過ぎず、言ってしまえば踏み台であると考えていたとしても不思議ではないのです。

 

新日本プロレスが大きくなることで世界進出するのではなく、ケニー・オメガおよび、その仲間達によるプロレスを大きな存在にすること。これが最

終目標でしょう。

もちろん、新日本プロレスをないがしろにする訳ではありません。WWEと比較すれば規模は小さな団体ですが、世界に発信する力は十分に持っています。その上で、自由に立ち回れるのであれば、ケニーにとってこれ以上の舞台はありません。

 

しかし、それを許せないのが新日本プロレスの「エース」棚橋弘至なのです。

 

棚橋弘至のプロレスとは?

アスリートプロレスも、新しいプロレスも関係ない。ここは新日本プロレスだ。

 

これこそが棚橋弘至の主張だと私は受け取っています。棚橋に「伝統の新日本プロレス」という言葉は似合わないかもしれません。中邑真輔と共に、アントニオ猪木の「ストロングスタイルの呪い」を断ち切った男ですから。

 

棚橋は過去と決別しながら、新しい新日本プロレスの「エース」であり続けました。

もちろん、自分自身を激しく主張するタイプのレスラーですが、それは同時に新日本プロレスの「エース」としてのアピールだったのです。

 

もし、ケニーのアスリートプロレスが、新しい新日本プロレスに必要なものであるのなら、棚橋はそれを否定することはないでしょう。事実、世界に対して強烈なアピールとなっています。

しかし、ケニーはあくまで「新日本プロレス」ではなく、自分自身や仲間である飯伏幸太、ヤングバックスらの「The ELITE」による「The ELITE」のためのリングを輝かせるために、解りやすいアスリートプロレスを展開しているように見えるのです。

 

それを新日本プロレスの「エース」である棚橋が許せるわけがないでしょう。

 

あくまで新日本プロレスを背負って未来に向かう……それが棚橋弘至のプロレス。

共に未来へと向かっていますが、描いているものはまったく違います。

 

明るい未来はどっちにある?

一見、ケニーのプロレスはとても自分勝手なもののように思えます。しかし、本当にそうなのでしょうか?

中邑真輔、AJスタイルズを同時に放出することになった2016年。もしも、そこにケニー・オメガがいなかったら今の新日本プロレスはあったでしょうか?

 

もちろん、新日本プロレスの未来を背負う存在は若く、才能に溢れたオカダ・カズチカであるべきです。すでに2016年の時点でオカダはIWGPヘビーのベルトを巻き、王者としての風格を纏うほどになっていました。

ですが、絶対的な存在ではなく「もうひとりのスター」が必要でした。別の方向性で輝くスターが。

そこにケニー・オメガがぴったりとハマったのです。

 

正直、私としてはその役割は飯伏幸太であって欲しかったですが、彼は一時的に新日本のリングを去っていましたのでケニー以外にいませんでした。

 

結果として、ケニーはこのポジションを活かして新日本プロレスをより刺激的なものとしてくれたのです。

ケニーが意図していたのかはわかりませんが、名勝負を繰り広げることでオカダ・カズチカの世界的な評価を劇的に押し上げました。抗争の中で石井智宏の才能を世界に知らしめたのもケニーでしょう。

 

「ベスト・バウト・マシーン」であるケニー・オメガが、間違いなく新日本プロレスの価値をより大きなものとしてくれたのです。

 

しかし、これからの未来においてもケニーは新日本プロレスの価値を保ち続けてくれるのでしょうか?

すでにお話した通り、ケニーはすでに他のレスラーを押し上げる気はなさそうです。先日のコーディ、飯伏幸太との3Wayはその意思表示ではないでしょうか。

俺たちだけで、素晴らしいプロレスができる。というはっきりとした意思表示です。

 

王者になった頃から「日本人レスラーは楽をしている」といった旨の発言も、自身が命を削って産みだした名勝負によって得た「新日本プロレスの評価」にあぐらをかいているのでは?と言いたかったのでしょう。

YOSHIーHASHIの相手までさせられていますし。

 

ケニーによって与えられた刺激によって、新日本プロレスは成長しました。面白くなりました。

しかし、ケニー・オメガという存在は劇薬とも言えます。ケニーに頼り切った世界戦略は長くは続かないでしょう。

ケニー・オメガのいる新日本プロレスとしてでなく、本来の新日本プロレスとして世界に進出しなければ意味がないのです。

 

そして、本来の新日本プロレスの在り方を取り戻した上で、成長するためには今一度「エース」の存在が必要なのではないでしょうか?

 

棚橋弘至が再びベルトを腰に巻いて、これからの未来の「エース」にバトンタッチする必要があるのです。

すでに、オカダは棚橋超えを果たしていますが、あの頃はあまりにも若すぎました。だから、あの「絶対王者路線」がブーイングされました。

オカダだけでなく、EVIL、SANADA、岡、海野……次の「エース」候補の乗り越えるべき壁として、棚橋弘至が新日本プロレスを明るい未来へと導いてくれるのではないでしょうか?

 

これだけ考えさせてくれただけでも、2019年の1.4東京ドームのカードは成功ですね。正直、このイデオロギー闘争についていろんな方のブログやSNSでの発信をチェックするのが最近の楽しみになっています。

これもまた、プロレスの楽しみ方のひとつですね。

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